厳しい年収制限(障害者自立支援法の基礎知識)

厳しい年収制限(障害者自立支援法の基礎知識)

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厳しい年収制限

障害者自立支援法の対象になるためには、年収制限があります。以前の制度より厳しくなって、助成を受けられる層がかなり狭まりました。住民税を年間20万円以上払っている「世帯」には、「1割負担」そのものが適用されません。

「1割」で前より負担が多くなるといっても、医療費が高額な心臓病治療などでは、「上限約4万円」は安心の目安です。ところが除外されると、負担増は3万どころでは済みません。「高額医療」の上限は1ヶ月1疾病1診療科で約8万円です(それも医療費のみが対象)。これはあとから差額が返還されるしくみで、医療機関には先にお金を払わなければなりません。

このように、自立支援法の内と外では、負担に大きな差があるのです。もっとも打撃を受けるのは、住民税の納付額が20万円をちょっと越えてしまった、という家庭。従来からの利用者には、急激な変化を避けるため、5年間の経過措置があります。また、「継続的に相当額の医療費負担が発生する場合」は、医療費の上限額が決められていますが、指定の疾患のみとなります。

たくさんの人々が、これまで国から支援される中で安定した家庭を築き、障害児者を守りながら働き、相応の税金を払ってきました。かろうじて成り立ってきた彼らの「自立」を新しい法律は「支援」してくれません。この法律の「外」におかれることになった人々への対応を誤ると、家族の就労が妨げられ、障害者のケアにも手が回らず、障害者とその家族の環境は悪化して、大きな問題になっていくでしょう。

今後は、一定の所得幅(たとえば住民税20万円超50万円以下の場合)で、大幅減税や特別控除などの対策を考えていく必要があります。

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執筆ライター 仲野マリ

【プロフィール・実績など】

2001年ダンスマガジンの「ダンス評論賞」で佳作入賞「同性愛の至福と絶望―AMP版白鳥の湖をプルースト世界から読み解く」。Femme Politique 52号(2006年6月末発行予定)「小沢一郎はいったいいかなる人物か」(取材・執筆協力)/「財政に強くなろう(2)」(講話まとめ)。障害者団体会報の編集に10年ほど関わり、年5回の会報を企画・編集・校正・入稿まで手がける。


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